このソフトは「現在の給与は残業代が含まれている」ということを明確にするためのものです。
中小企業では社長さんも従業員も上記の認識に立っているケースが結構あります。しかし労働基準監督
署の臨検監督が行われたときには、必ず次のように問われることになります。「それでは給与のうちどの
くらいが割増賃金相当分なのですか?」と・・・。
監督官のこんな質問は必ずしも意地悪ではなく、判例でも「給与や手当のうちどの部分が割増賃金に該当
するかを明確に区分できないときは割増賃金の支払い義務を免れない。」として、サービス残業をさせて
いると判断しているのです。(小里機材事件 1989.1.30東京地、他にも多数同様の判例があります。)
時間給1,000円の労働者がいて、1ヶ月間の所定労働時間が172.5時間であれば、172,500円の給与にな
ります。(ここでは時間外割増賃金に算入しない家族手当などを除いて考えます。)
もしこの労働者が1ヶ月で30時間労働したとき、支給額はいくらになるでしょう?
1,000円×1.25×30時間=37,500円の時間外手当が含まれ、支給額は210,000円です。
是正勧告で賃金不払いと見られた場合、最大2年間、少なくとも3ヶ月は遡って未払い部分の支払いを勧
告されることになります。3ヶ月でもこのケースでは112,500円、もし2年間であれば900,000円にもなる
のです。そしてこの額は労働者1人あたりだということを認識してください。
10人の企業であれば9,000,000円です!!!
そこで、今後はちゃんと割増計算をしてそれを支払っていくか、給与の中のどれくらいが割増部分かを
明確にするかのどちらかを選択することになります。
人件費支払い余力のある会社は是非前者の方法を採用されるべきです。これがベストの選択です。
しかしベストの選択ができる会社ばかりとは限りません。そのときは後者を選択せざるを得ません。
そんなとき、本ソフトが必ずお役に立ちます。
本ソフトは簡単な操作方法で、現在の賃金と残業時間を組み込んだ賃金の違いを総支給額を変えずに比較
することができます。また、最低賃金をクリアしていないときや年間の労働時間がオーバーしているとき
は×印で警告してくれますので、正しい労務管理の基本に役立てることができます。
さらに、最低限の操作で労働者に対する通知を印刷し、就業規則変更届や従業員代表の意見書、個別合意
書の印刷もできますので、36協定届を提出していれば、このソフトだけで監督署への手続きは対応でき
ます。(体験版では込みにできる時間外労働は9時間まで、総支給額は15万円までとしています。なお
印刷機能も削除しています。ご了承ください。)
残業込み賃金の設計には、いくつかの大きな問題をクリアする必要があります。
それを無視して導入することはできません。
@労働者の個別同意をとること
判例の主旨からすれば上記例の労働者の時間単価は1,000円なのです。しかし30時間分の時間外労働
を込みにすれば、時間単価は821.43円まで下がることになります。
これは労働条件の不利益変更であり、賃金は最も重要かつ基本的な労働条件とされていますので、一人一
人、個人別に同意を得ないと採用することはできません。また、残業代を込みにするかわりに別途手当を
支給するとか、賞与の支給額を上げるといったような代替措置や移行措置なども検討してください。その
上で一人一人に誠意を持って説明し、協力を求めることが肝心です。
このように会社が労働者の同意を得るためにできる限りの譲歩(何でもかんでもという意味ではありませ
ん)をすることが、後々のトラブルを抑えることに繋がるのです。
A退職金や賞与の算出方法が「基本給×○ヶ月」となっていないこと
退職金や賞与の算出方法がこのようになっているときは不利益変更の程度が大きくなりますので、より
採用は難しくなります。算出方法を変える(賞与の定額制、退職金のポイント制などの採用)ことができ
ないようであれば、残業代込み賃金の設計はあきらめるほうが賢明です。
B就業規則の整備
給与の中に残業を何時間分、またはどのくらいの額を含めているか、そして、込みにしている時間を超
えたときは割増賃金を別途支払う旨、就業規則に記載しなければ法的要件をクリアできません。残業代を
込みにしたからといって、それを超えた時間に対して割増賃金を支払わなければ、それもサービス残業に
なるのです。また常時使用する労働者が10人以上の事業場では、労働基準監督署に対して手続きをとる
ことになります。
※10人未満の事業場でも就業規則に準ずるものに定めておく必要があります。
このようにクリアすべき問題点は多くありますがが、当事務所でお役に立てることがございましたら、
ご遠慮なくご相談ください。