| ●時間外労働 法定労働時間(原則1日8時間、1週40時間)を超えた労働があったとき、割増賃金が発生します。割増率は1.25倍です。 ●深夜労働 午後10時から翌午前5時までの間に労働があったとき、割増賃金が生じます。割増率は0.25倍です。 ただし、深夜労働が法定時間外においておこなわれたときは、時間外割増と合算して1.50倍で計算します。 ●休日労働 法定休日(週1回もしくは4週に4回の休日を与える必要がありますが、この休日を法定休日といいます。) に、労働があったとき、割増賃金が生じます。割増率は1.35倍です。 例えば完全週休2日制の会社で毎週土・日曜日が休みのとき、日曜日を法定休日と就業規則に定めたときは、 日曜日に労働があれば、1.35倍で計算することになります。 また、休日労働が時間外に及んだときは、そのまま1.35倍で計算しますが、休日労働が深夜に及んだときは合算して 1.6倍で計算することになります。 |
習うより慣れろですので、事例をもとに検証してみましょう!前提条件は各設問とも共通とします。
| 1年間の休日=104日、1日の所定労働時間=8時間 賃金の内訳は、基本給=150,000円、役職手当10,000円、部門手当=5,000円、資格手当=5,000円、皆勤手当4,000円、 住宅手当=5,000円、家族手当10,000円、通勤手当=8,500円 総支給額=197,500円とします。 |
Q1)時間単価の算出
まず、この人が一時間働いたらどのくらいの給与なのかを計算します。
時間単価の求め方は、算定基礎賃金(月額)/1ヶ月の所定労働時間(平均)で求めます。(原則)
●算定基礎賃金
算定基礎賃金は給与の支給項目から次のものを控除して算出します。
| ・家族手当 ・通勤手当 ・別居手当 ・子女教育手当 ・臨時に支払われる賃金(慶弔見舞金など) ・住宅手当 ・1ヶ月を超える期間を定めて支払われる賃金(賞与など) これを上記の前提条件に当てはまると、時間単価は174,000円@になります。 |
●1ヶ月の所定労働時間
1ヶ月の所定労働時間は(1年間の暦日数−年間所定休日数)/12ヶ月×1日の所定労働時間で求めます。
| (1年間の暦日数−年間所定休日数)で、1年間の労働日数を出します。 =261日/年 /12ヶ月で、1ヶ月平均労労働日数を出します。 =21.75日/月 ×1日の所定労働時間で、1ヶ月平均での労働時間数を出します。 =174時間/月A |
これを元に計算すると(@/A)ですから、時間単価は1,000円Bになります。(日給は8,000円Cです。)
Q2)この労働者が2時間残業したときの割増賃金は?
割増賃金は時間単価×割増率になりますので、このひとの場合は1,000円×1.25=1,250円×2時間=2,500円になります。
このとき、総支給額は197,500円+2,500円=200,000円が正解です。
※たまたまこの会社は1日の所定労働時間が8時間ですので、残業=時間外労働になりましたが、所定労働時間が7時間の
会社であれば8時間を超えるまでの時間は、1.25倍でなく、1.0倍をすることになります。ただし、このときであっても週の労働
時間が40時間を超えるときは1.25倍で計算します。
●例えば1日7.5時間の会社では
月曜日=7.5時間+0.5時間残業=残業0.5時間は500円
火曜日=7.5時間+2時間残業=残業0.5時間までは500円、0.5時間を超えた部分は1,875円
水曜日=7.5時間+2時間残業=残業0.5時間までは500円、0.5時間を超えた部分は1,875円
木曜日=7.5時間
金曜日=7.5時間
ここまでで、時間外割増を支払った時間以外の労働時間が39時間に達しています。
土曜日=法定外休日=5時間残業したとすると、
最初の1時間までが1,000円、残り4時間は1,250円×4=5,000円になります。
Q3)深夜労働にかかる計算は?
この労働者の勤務が14:00〜23:00(内1時間休憩含む)であったとき、
14:00〜22:00までは時間給1,000円で計算しますが、22:00〜23:00は深夜労働ですので1,250円になります。
計算の仕方は1,000円×0.25=250円です。ここで注意すべきことは1.25でないということです。
22:00からの1時間も所定労働時間ですから、1.25倍するとおかしくなります。
日給を計算するときの計算式はC+B×0.25×深夜労働時間数です。
8,000円+1,000円×0.25×1時間=8,250円が正解です。
ただし、この人が1時間残業したときは、時間単価×(時間外割増+深夜割増)ですので、
1,000円×(1.25+0.25)=1,500円になります。
日給は8,000円+1,000円×0.25×1時間+1,000円×1.5×1時間=9,750円です。
Q4)休日労働に関する計算は?
休日といっても法定休日と法定外休日では計算式が違います。Q2の1日が7.5時間の会社のように、法定外休日は割増計算を
する必要がありません。ただし、週の労働時間が40時間を超えたときは時間外割増の計算は必要です。
休日割増はあくまでも法定休日に勤務があったときに必要になります。
Q3のケースで法定休日にフル出勤したとします。すると計算は
8,000円×1.35+1,000円×0.25×1時間=11,050円が正解です。
休日労働が深夜に及んだときは、上記のように休日割増にさらに深夜割増が必要です。ただし、休日労働割増はそれが時間外
労働であってもなくても1.35倍で計算します。深夜割増(1.35+0.25)のように休日割増+時間外割増で計算する必要はありません。
ですから、この人が1時間残業したときは、1,000円×1.35=1,350円がプラスされ、日給は12,400円が正解です。
Q5)端数の扱いは?
端数といえど、賃金支払いの全額払いの原則に反することは労基法24条違反になります。例では時間給1,000円でしたので簡単
でしたが、割り切れないようなときの計算方法はどうでしょうか?たとえば割増時間単価が999.45円で計算してみましょう。
大原則は労働者に不利にならないことです。
ですから、この人が1日5時間残業したとすると4,997.25円ですが、この計算を次のいずれで行っても構いません。
@小数点以下を切り上げて計算 1,000円×5時間=5,000円
Aそのまま計算して、最後に小数点以下を切り上げる 999.45円×5時間≒4,998円
どちらも、労働者に不利にならないよう切り上げていますが、通達では1時間あたりの賃金や割増賃金に円未満の端数が生じ
たとき、50銭以上を切り上げ50銭未満を切り捨てる方法でも良いとしています。
B日々の計算はそのままにしておいて、賃金締め日で端数が生じたとき、それを円未満切り上げまたは四捨五入する。
999.45円×5時間+999.45円×・・・・・・・・ =14,991.75=14,992円
その他にも端数の扱いはいろいろな方法が認められていますので、基発150号(昭63.3.14)を参考にしてください。
※本ソフトはBの方法で、円未満切り上げ計算をしています。