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賃金Q&A−賃金体系の変更(歩合給の導入)−


 我社では職能給に基づいて賃金を決定していますが、営業力強化のために歩合給を
導入しようと考えています。このような賃金決定方法に変更するときは、どんな点に気
をつけなければならないでしょうか?


A 大きく3つに分けてご説明します。
@賃金体系の変更が有効となるかどうか
 賃金体系を変更し、歩合給を導入した事例では光和商事事件(H14.7.19大阪地裁)
参考になります。
貸金業法改正により貸金利息の上限が引き下げられ同業者間の競争が激化したのに伴い
賃金体系を変更し(男性営業社員については歩合給制とし、基本給と精勤手当は固定額
を支給するが、顧客手当・営業手当等は各営業社員の顧客件数や貸出残高に応じて計算
されるようになった)、また事業存続のため営業社員の基本給が減額される措置がとら
れ、賃金が減額されたことから、退職後、右賃金体系の変更等の無効を主張して、それ
に基づく賃金差額の支払と実際に支払われた退職金と変更前の基本給に基づいて計算し
た退職金の差額支払を請求したケースです。裁判所は、歩合給制の導入が直ちに従業員
に不利益な賃金体系であるということもできないとしたうえで、原告らは歩合給制導入
を認識し、それに基づいて計算された賃金を受領することにより歩合給制の導入を黙認
していたし、基本給減額についても原告らは黙示に承諾していたものとして、請求はい
ずれも理由がないとして請求が棄却されました。(このほかに割増賃金が支払われてい
ないことについても争われましたが、この点についてはタイムカードの記載に基づく割
増賃金請求が一部認容(始業前時間を除く)されています。
 この判例のポイントは@会社は新たな給与体系の詳細を記載した書面を従業員に回覧
させ、これを閲覧可能な場所に掲示したことA総人件費を縮小することなく、移行を実
施したことです。給料が下がった社員ばかりでなく、上がった社員もいた(営業社員
10人中6人の賃金手取額がそれ以前の手取額を上回った)ことです。またその後の基本給
の引き下げについても、原告らは特段抗議することなく、減額された賃金を受領し続け
ていたため、裁判所は「賃金を会社側が一方的に減額することは認められないが、本件
の場合、黙示で承諾していたものと認められる」と判断しました。
 就業規則の不利益変更のところでも触れていますが、このようなときには必要性と不
利益性のバランスや手続きなどが重要なポイントになりますので、ご注意ください。
A完全歩合給(フルコミッション)の導入ができるか
 歩合給にはいくつか種類があり、フルコミッションも計算根拠としては成り立ちます
が、実際には最低賃金法や保障給(労基法27条)の縛りがありますので、ノルマを達成
できなくても、労働時間に応じ一定の賃金は支払わなくてはなりません(ただし、労基
法上の労働者でない者との間に交わす請負契約の場合にはこれらの法の適用はありませ
ん)。 なお、この保障給は「労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならな
い」としか定められていませんので、ある程度会社の裁量で決めることができると思わ
れますが、解釈では「常に通常の実収賃金とあまりへだたらない程度の収入が保障され
るように保障給の額を定めるように指導すること」、「保障給は全額請負給(歩合給)
だけでなく一部請負給についても基本給を別にして保障すべきものであるが、固定給の
部分が賃金総額中の大半(概ね6割程度以上)を占めている場合は請負制で使用する場
合に該当しない」(S22.9.13発基27号、S63.3.14基発150号)とされていますので、ご注
意ください。もっとも労働者が就労していない日はノーワークノーペイの原則により賃
金の支払い義務はありません。
B歩合給では割増賃金の計算はどうするか
 歩合給であっても、法定時間外労働をおこなったときには割増賃金が発生します。仮
に基本給+歩合給で働いている労働者が時間外労働を行ったときにどうなるのか、一つ
例を挙げてご説明します。
基本給=120,000円  歩合給=180,000円  所定労働時間(就業規則に定めた労働時
間)=172時間  所定外労働時間(残業時間)=30時間  総実労働時間(実際に働い
た時間)=202時間
(120,000/172×1.25+180,000/202×0.25)×30=32,846円(円未満切り上げ)
120,000円+180,000円+32,846円=332,846円・・・支給額
 この計算式を3つに区切ります。120,000/172×1.25の部分は1ヶ月の時間給を求めそ
れに時間外割増の1.25を乗じて、基本給部分の割増単価を求めています。
180,000/202×0.25は、歩合給部分の割増単価を求めているのですが、202時間かけて
180,000円の給与を得ていますので、172時間で計算するのでなく202時間を元に時間当た
り単価を求めます。また、この180,000円の中にはすでに割増以外の部分が含まれていま
すので、0.25時間を乗じて求めることになります。
そして合算した額に時間外労働の×30を乗じることによって30時間分の時間外割増
32,846円が求められます。フルコミッションの場合はこの計算式から基本給部分の計算
を除いて求めてください。


 なお、歩合給に割増給を含ませることも可能ですが、(歩合給に割増賃金を含める〉
支払方法が適法であるためには、歩合給の中のいくらが割増賃金に当たるかをそれ以外
の賃金部分と明確に区別することができ、その割増賃金相当部分を控除した基礎賃金に
よって計算した割増賃金の額と右割増賃金相当額とが比較対照できることが必要である
といわなければならない。高知県観光事件(89.8.10 高知地裁)があります。

賃金支払いの五原則


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